OUTDOOR STOVE 【YUKI】(アウトドアストーブ 【ユキ】)
Outdoor空間を演出するTETSUMONO®をデザイン設計からー。
こちらの製品ページはこちらから→【OUTDOOR STOVE YUKI】
『営火』に想いを寄せ、人と火の関係をストーブが媒介していくために設計しました。
どこからがインドアで、どこからがアウトドアなのか。
どこからがプライベートで、どこからがパブリックなのか。
コロナ禍により在宅勤務をされる方が増え、ソーシャルディスタンスという新たな境界が生まれアウトドア需要が伸びました。
在宅勤務やビジネスホテルなどの滞在先でのオンラインによる打ち合わせは常套手段として普及しつつあります。今後は、出社/在宅勤務をハイブリッドで選択したり、ビジネスホテルでの宿泊ではなく、リゾートホテルなどに滞在型の出張業務など、新しい働き方が一層進展すると考えられます。
そこで「OUTDOOR LIVING」という半屋外空間の発達に着目を置きました。
理由としては、在宅や出社のハイブリッド選択をしたとしても、一度ソーシャルディスタンスという境界を知ってしまった我々が以前の密集した空間での生活に完全に戻ることはできないと感じるからです。
またリゾートホテルなどの広大な敷地を活かしたリゾート景観の中で、開放的であり空間の窮屈さから解放された働き方や過ごし方が求められているとも感じます。
鉄工人の技術と情熱が詰まったFe:FRAMEプロダクトは、未来に向けた新たな働き方や生活スタイルに貢献すると考えています。
特にこのアウトドアストーブYUKIは屋外空間を所有又は共有するすべてのオーナーに向けた、ネイチャーやアーバンなど、あらゆる環境でOUTDOOR LIVINGを創出するためのプロダクトです。
及川鉄工㈱が長年取り組んできた鋼板加工を活かした鋼板製の薪ストーブ。溶接品質や安全性にもこだわり、燃焼/ガス検知テストをガスメーカーと実施しました。
北海道から発信する、鋼板を使ったアウトドアストーブYUKIはスリット式ユニット構造という他に類がない世界初のストーブ構造をしています。
ストーブを使う空間の広さに合わせて、1段、2段、3段とユニットを組み換え、本体の燃焼空間を調整することができます。
例えば、半屋外のテント内で少人数で使う時には1段もしくは2段で。
広いテント内や屋外で使う時には3段に組んで、燃焼空間の広さを調整しながら使用いただけます。
炎の美しさを楽しみたいときにはガラスプレートを、採暖を主とした場合は鋼板プレートを用いるなど、あらゆるシーンに対応可能なマルチなアウトドア用薪ストーブです。
また、ガラスと鋼板のプレートの組み合わせ方によって、YUKI本体のデザインにも変化をつけることができます。
各段に煤付着防止のエアカーテンを備え、高い熱効率を実現し、CO2削減効果も持つ地球に優しいストーブです。
ガラスに煤がついてしまった場合でも、プレート式のためストーブ本体からガラスを取り外して洗うことができるのでメンテナンス性にも優れています。
本体内部のエアカーテンに加え、オプションの二次燃焼プレートを用いることで炎のデザインができるようストーブ機能を向上させることが可能です。
特に三段で使用する際には、高低差を活かした対流設計によりドラフトが発生し、美しくしなやかな炎が生まれます。
また、スリット式ユニット構造を利用し、サウナストーブにも姿を変えることができます。
エキスパンドメタル製のサウナプレートを挿入するとサウナストーンを抱えるバケットへ変わります。
蒸気を発生させるロウリュの水がガラスにかからないよう内部構造に工夫をしています。
テントサウナ用のサウナストーブとして本場のフィンランドサウナを楽しむためにも使うことができるのです。
このように、ゆっくり燃焼を楽しむアウトドア薪ストーブとしての使い方や、効率的な暖房に適したサウナストーブとしての使い方など、用途に合わせてカスタマイズ可能なプレート等オプションを多数用意しました。
YUKIは『営火』を持ち運ぶことができるストーブとして新たな薪ストーブの境界や付加価値を生み出す、高いデザイン性を備えたマルチなアウトドアストーブとして開発されています。
このアウトドアモデルを派生させINDOOR専用モデル、サウナストーブ専用モデルを開発展開も可能です。
『人と火』
火に魅了され、薪ストーブや、アウトドアストーブで暖を取り、炎のゆらぎに癒されているという方も多いと思います。もちろん、採暖・鑑賞だけではなく、炊事のために、という場合もあるでしょう。
『人と火』の関係は、切っても切れないものです。
その関係性を深めていくにつれ『営火』に想いを寄せていくようになったのは自然のことだったのかもしれません。
はるか昔の竪穴式住居は、屋内で焚き火をするための構造になっていたそうです。火を中心とした構造になっていることから、当時のエンターテイメントは火だったという考えもあるほど。
その火は観賞や採暖だけではなく、炊事、照明、獣除けという目的もあったと言われています。
人間が生きていくための、生活を営むための火。
この『営火』を境界とする場面を想像すると様々な情景が映し出されました。そこには火に魅せられた人々が、五感でぬくもりや美しさを感じる姿がありました。
火を楽しむ人々の輪の中心になることができるのが『営火』を持ち運べるアウトドアストーブ【YUKI】です。
中谷 宇吉郎さんという研究者をご存じの方もいらっしゃるかと思います。
中⾕宇吉郎氏は1900 年7 ⽉4 ⽇、⽯川県加賀市⽚⼭津温泉に⽣まれる。
1925 年 東京⼤学理学部卒業後、理化学研究所で寺⽥寅彦に師事。その後イギリスに留学。
1932 年に北海道⼤学理学部教授となり雪の研究を始める。
1936 年3 ⽉12 ⽇、⼤学の低温研究室にて⼈⼯雪を作ることに世界で初めて成功。気象条件と結晶が形成される過程の関係を解明した。他にも凍上や着氷防⽌の研究など、低温科学の新しい分野をつぎつぎに開き、晩年はグリーンランドの氷の研究に⼒を注いだ。
科学研究のほか、随筆、絵画、科学映画などにも優れた作品を残している。
そんな中谷さんの代表的著書『雪』をSTORYとして六花(雪の結晶)のデザインをYUKIに施しました。六角形のデザインも背景にあります。
上蓋にデザインされたステンレス角棒の六花は美しさをもたらすだけではなく、熱による反り返りを防いでくれます。
素材としては「雪」の溶ける様を「錆」が土に還る性質と重ね、メインには経年変化を意図したCORTEN鋼を選択。要所にステンレスを使用し光の美しさと反射を演出しました。
CORTEN鋼は北海道百年記念塔に使われている鋼材と同じもので、錆で錆を防ぐ耐候性鋼板です。一生もののストーブにしていただくため、経年変化するコールテン鋼を使用し、時と共に使い込む愉しみを感じていただけるようにしました。
錆をまとったコールテン鋼とステンレスで構成されたYUKI が北海道の新たなシンボルとなってくれたら…という願いも込めています。
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なだれの恐ろしさ、吹雪の恐ろしさ、雪が人間の生活に及ぼす影響を数えあげれば、優に一冊の書物になり得るような研究題目のみであるが、これ以上、雪害及び雪の利用の問題については述べない。
雪は人間の生活をおびやかすばかりではない。
年毎に激増してゆくスキーを楽しむ人、冬山へ登る人、更に幾度か犠牲を払うことにも屈せず、ヒマラヤに挑戦している西欧の登山家たち、このいずれもの人々がいわば雪と闘い、雪を楽しみ、雪の魅力に引ずられているのである。
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雪とは一体なんだろう。
考えたとき、雪が生活に関わる地域の人々は排雪や雪害について頭を抱えてしまうことが多いでしょう。
北の雪国としての北海道の広大な自然や、大地にしんしんと降り積もる雪を楽しみに北海道観光に来られる方々が国内に限らず国外にまで多くいらっしゃいます。
屋外空間を多様に演出する、人々の使い勝手に合わせた営火を持ち運ぶことができるYUKIは鉄らしく北海道らしい美しさを兼ね備えています。
たくさんの人の「嗜み」や「愉しさ」につなげられるプロダクトになればと願います。
雪への情熱。
中谷さんは雪の結晶を観察するにあたり、寒さにも厭わずその美しさに魅了され、没頭していったそうです。気がつくと手足が震えていた…ということはよくあったと「雪」に描かれています。
その中谷さんが魅了された雪の結晶に負けない美しさをYUKIも表現していきます。
YUKIの前にしゃがみ込むと時を忘れ、その宿している炎を眺めつづけてしまいます。
YUKIが創造する美しい炎は人々を虜にするのです。
雪への想いが発展し、中谷さんは世界で初めて人工雪の製作に成功するという功績を成し遂げています。
YUKIの炎も可能性を越えていく希望になることを願って。
=仕様=
〈用途〉アウトドア用薪ストーブ
〈機能〉スリット式ユニット構造
〈サイズ〉本体 W478㎜ D415㎜ /1段使用時 H425㎜/2段使用時 H670㎜/3段及びサウナストーブ使用時 H940㎜/各プレート W150㎜ H250㎜ t5㎜
〈材質〉ステンレス SUS304、COR-TEN
〈重量〉天板 4.75kg/本体1段目 16.8kg/本体2・3段目 各9.9kg/鋼板プレート 1.35kg/ガラスプレート 0.45kg/サウナプレート 0.3kg/煙突プレート 2.05kg
〈煙突径〉106/150㎜