
鉄製品におけるhsコード完全ガイド、誤分類トラブルと通関対策
鉄製品のHSコード、正しく分類できていますか?
輸入通関や貿易業務に携わる現場で、「鉄パイプと継手の境界が分からない」「ステンレス鋼と合金鋼の違いで迷う」「形鋼かフラットロールかの判断に悩む」といった声は後を絶ちません。実際、鉄鋼製品のHS分類ミスは年間数百件以上報告されており、誤分類によって高関税を課されたり、税関での輸入許可が保留されたりするケースもあります。
たとえば、同じ重量・外径・ミリメートル単位の管状製品でも、中空構造の有無や溶接・圧延の加工状態、さらにステンレス含有量や合金比率など、複数の要素がHSコードを左右します。分類品目がひとつ違うだけで、関税率が10%以上変わることもあり、損失回避の観点でも看過できません。
この記事では、分類に迷いやすい製品(ねじ、パイプ、鋼板など)を例に、誤分類の実例や関税トラブルを具体的に解説。財務省やWCOが提供する公式ガイドラインに基づき、通関士や貿易担当者が実務で使える判断ポイントも丁寧に整理しました。
最後まで読むと、分類ミスを避けるためのチェックリストや、炭素鋼・ステンレス鋼・黄銅・青銅など材質別の具体分類コードも把握でき、日常業務での迷いが格段に減るはずです。誤分類による損失を未然に防ぎたいなら、今こそ確実な分類基準を身につけましょう。
Fe:FRAMEは、北海道で60年の歴史を持つ鉄工所が運営するブランドです。アナログなモノづくりの価値を追求し、その独自性を世界に発信しています。
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HSコードとは?鉄製品における基礎知識と必要性
HSコードの基本構造と成り立ち
国際貿易における品目の分類は、各国ごとに異なるルールで行ってしまうと大きな混乱が生じます。そこで採用されているのがHSコード(Harmonized System Code)です。これは世界共通の貿易品目の分類体系で、現在では世界の98%以上の貿易で利用されています。
HSコードは原則として6桁の国際統一コードを基礎とし、さらに各国が自国の貿易事情や制度にあわせて細分化した7桁目以降の数字(日本では9桁まで)を追加する形式となっています。
HSコードの基本構成(日本の場合)
桁数 | 内容 | 例(鉄鋼製ボルトの場合) |
2桁 | 類(Section) | 73(鉄鋼製品類) |
4桁 | 項(Heading) | 7318(ねじ類) |
6桁 | 号(Subheading) | 731815(ボルト) |
9桁 | 統計細分(National Subcode) | 731815000(日本の統計番号) |
このコードは単なる数字の並びではなく、分類基準として形状・材質・用途・加工方法などの要素が複雑に組み合わさっています。
鉄製品の場合、「73類」に属する製品が多く、具体的には鉄パイプ、ネジ、ワッシャー、ドラム缶、台所用品など多岐にわたります。また、「72類」は鉄鋼素材そのもの、たとえば棒鋼や鋼板、フラットロール製品などの分類に使われます。これらは外径、長さ、溶接の有無、冷間圧延か熱間圧延か、ステンレス鋼か合金鋼かといった物理的・化学的属性が重要な判断基準になります。
具体例として、以下のような製品とコードがあります。
製品名 | 主なコード例 | 備考 |
冷間圧延鋼板 | 7209.15.000 | 非合金鋼、厚さ未満3mm、幅600mm超 |
ステンレス製パイプ | 7304.41.000 | 溶接、円形、外径600mm未満 |
SUS304製台所用品 | 7323.93.000 | 食卓・台所用品 |
鉄鋼製ナット・ボルト | 7318.15.000 | 形状・材質により細分化 |
鋳鉄製ストーブ | 7321.81.000 | 固体燃料用、家庭用暖房器具 |
コードは数字の羅列のように見えますが、製品の特徴を正確に把握し、適切に分類することで、誤分類による通関トラブルや関税リスクを回避することができます。
また、同じ「鉄製品」という大分類の中でも、「鋼板 hsコード」「ステンレス hsコード」「ss400 hsコード」など、検索されるワードは多様です。これは実務者が材質別や用途別で分類を探していることを示しており、分類コードと製品実態のマッチングがどれだけ重要かを物語っています。
製品が複数の部材から構成されている場合や、金属と非金属の複合製品である場合は、「主たる構成要素」の優先、「最終用途」に基づく分類が求められます。このあたりの判断には通関士や専門家のアドバイスも必要になるケースが少なくありません。
鉄製品におけるHSコードの役割と法的根拠
鉄製品に限らず、すべての輸出入商品は税関での審査・通関を受ける必要があります。その際、正確なHSコードの記載は不可欠であり、これがなければ通関自体ができません。また、HSコードの正誤は「関税率」「輸出規制」「証明書の要否」に直結するため、実務上きわめて重要なポイントとなります。
例えば、鉄鋼製品の輸出入には以下のような法制度が関係してきます。
鉄製品に関係する主要な法的根拠
法令名 | 内容の概要 |
関税定率法 | 各製品の関税率を規定 |
関税暫定措置法 | 一時的な関税優遇措置や変更を定める法律 |
輸出貿易管理令 | 特定品目の輸出に関する制限・手続きを定める |
外為法 | 貿易に関する外貨取引・届け出に関する法律 |
特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律 | 鉄くず等を含むリサイクル関連鉄鋼品の規制に関与 |
これらの法令に基づいて、正しいHSコードが選定されていない場合、例えば「ねじ」として扱うべき製品を「パイプ部品」として分類してしまうと、関税率が異なったり、必要な輸出許可を見落としたりするリスクが発生します。
また、金属加工品の中には、「完成品」ではなく「部分品」や「部材」として分類すべきものも存在します。こうした場合は「品目の定義」に加えて、「用途に基づく分類」も考慮される必要があり、例えば「台所用品」と「業務用機器部品」では全く異なるコードが割り当てられることがあります。
さらに、「品目分類の統一解釈」は世界税関機構(WCO)によりガイドラインが示されています。分類判断に迷った場合は、WCOの分類意見書、または財務省・税関が公開している通達や品目分類事例を参照することが推奨されます。
つまり、HSコードの正確性は「貿易コスト」「事務作業負担」「通関スピード」に直接影響を与えるため、鉄製品の分類にあたっては、企業規模を問わず注意すべき重要な業務プロセスです。
鉄製品の分類構造 第72類と第73類の違いを図解
第72類の特徴と対象製品
第72類は、鉄鋼の素材そのものに該当する製品群で構成されており、いわゆる「加工前」の状態の金属素材を主に対象としています。これは鉄鋼業界や建築資材、製造業でよく使用される基礎材料群で、代表的な例としては鋼板(ホットコイル、冷延鋼板)、棒鋼(異形鉄筋など)、線材(ワイヤーロッドなど)が挙げられます。
この分類では、製品の形状や圧延の方法(熱間圧延・冷間圧延)、材質(炭素鋼、非合金鋼、合金鋼、ステンレス鋼)、厚み、幅、断面形状などが細かく規定されており、品目分類の精度が非常に求められます。
特に厚さ・幅・材質による分類は正確性が要求され、以下のような分類基準が用いられます。
製品カテゴリ | 代表的なHSコード | 材質 | 圧延方法 | 厚さ | 幅 |
冷間圧延鋼板 | 7209.15 | 非合金鋼 | 冷間圧延 | 3mm未満 | 600mm超 |
熱間圧延鋼板 | 7208.38 | 炭素鋼 | 熱間圧延 | 4.75mm超 | 600mm超 |
線材 | 7213.91 | 非合金鋼 | 抽伸加工 | 任意 | 任意 |
ステンレス鋼帯 | 7219.13 | ステンレス鋼 | 冷間圧延 | 3mm未満 | 600mm超 |
棒鋼 | 7214.20 | 合金鋼 | 熱間成形 | 任意 | 任意 |
第72類に該当するかどうかを判断するには、製品が「基本素材」であるかどうかが鍵となります。たとえば、フラットロール製品とは何かという問いには、「圧延により板状または帯状に加工された鉄鋼製品で、製品の用途に応じてさらに加工される前の段階の素材」と答えることができます。つまり、まだ完成品の用途に供されておらず、流通段階では素材として扱われているものが中心です。
多くの企業では、材料仕入れや輸出入時にこの第72類の理解が不十分なため、誤分類による通関遅延や税率誤適用といったトラブルを招いています。そのため、輸入申告や輸出時の製品仕様書には、圧延方法、厚み、幅、材質、合金含有量などを明記し、分類根拠を示せるような体制が求められます。
第73類の特徴と対象製品
第73類は、鉄鋼を素材として加工され、最終製品またはそれに近い状態で流通・使用される製品を対象としています。ここで言う「製品系」とは、部材や部品としてすでに一定の機能や用途を持ち、エンドユーザーの手元や製造ラインで直接使用されるものを意味します。
これら製品の多くは、外径・厚み・構造・有無(継目、ネジ山、被覆など)や使用用途によって分類が分かれます。たとえば、7304と7318では形状が似ていても、用途や構造が異なればまったく違うコードが適用されることになります。
さらに、製品が「完成品か部分品か」によっても分類が変わります。例えば、座金(ワッシャー)一つをとっても、単体で家庭用品として販売されるものと、機械の一部として出荷されるものでは分類が異なります。この判断を誤ると、輸入時に必要な証明書が変わったり、関税率に大きな差が出る場合があります。
実務上では、これらの製品に関してJIS規格やメーカーの製品仕様書を併用して分類することが一般的であり、分類の精度を高めるためには十分な仕様開示と分類ガイドラインの理解が必須となります。
判別ポイントと分類ミスの実例
鉄製品を第72類か第73類に分類するうえで、最もよく発生する問題が「誤分類」です。これは素材と製品の定義が曖昧になりがちな実務現場で頻繁に起こります。
誤分類を防ぐためには、まず「その製品が何のために使われるのか」という使用用途の明確化が必要です。通関士や関税当局は、品目の用途と加工状態を総合的に判断して分類を決定します。
また、素材から加工品に変わるタイミングは、「機能性が付与されたかどうか」がポイントです。例えば、鋼板を単純にカットしただけでは第72類ですが、これに穴あけ加工や曲げ加工が加えられ、特定用途の部品として販売されるようになると第73類または他の製品類になる可能性が高まります。
これにより、分類根拠が明確になり、通関時のやり取りが円滑になります。また、品目分類が業務におけるボトルネックとなることも少なくなり、税関からの指摘や修正指導のリスクを大幅に軽減できます。
鉄製品の分類は「素材か製品か」という単純な二択ではなく、「どの時点で製品として成立しているか」「その製品がどのように使われるか」という実務的観点が求められます。これは分類の精度を高めるだけでなく、関税コストの最適化や通関スピードの向上にも直結するため、正確な分類判断は輸出入業務における競争力を左右する重要なファクターです。
製品別HSコード一覧 鉄パイプ・鋼板・ネジなどを逆引き形式で紹介
鉄パイプ・配管・継手
鉄パイプや配管部品、継手(フィッティング)は、工業・建築・家庭のいずれの分野でも幅広く使用される鉄鋼製品です。これらの製品は主にHSコード「7304」「7307」に分類され、用途・形状・材質の違いによって分類が細かく分岐します。特に通関書類や輸入管理において正確なHSコード指定が求められるため、構造や用途の理解は不可欠です。
分類に使われる主なコードと製品対応例
製品 | 主なHSコード | 補足 |
鋼製配管(継目なし) | 7304.10 | 石油・ガス輸送用として厚肉仕様が多い |
鋼製配管(溶接管) | 7304.31〜7304.59 | 建築・空調ダクト・排水用途 |
継手類(鋼製) | 7307.21〜7307.99 | エルボ・チーズ・カプラーなど多品種 |
想定される疑問とその解決
-
どのような形状が「7304」に該当するか?
→中空円形・一定の外径・厚さがミリメートル単位で規定されたパイプで、溶接または継目なしのものが対象。
-
「7307」は具体的にどんな継手が該当するのか?
→エルボ、フランジ、ユニオン、T字管、ソケットなどで接続機能を持つ成型品が分類対象。
-
用途によってコードが変わるのか?
→最終用途ではなく構造・形状・材質の物理的特性で分類されるため、使用目的だけでは判断できない。
-
材質ごとに分類は異なるか?
→非合金鋼、合金鋼、ステンレス鋼でそれぞれコードが異なるため、材質の確認が必要。
-
輸入時の関税は異なるのか?
→はい。たとえば工業用厚肉パイプは関税率が低く設定されることがあり、EPA協定で関税免除対象となるケースも。
鋼板・フラットロール製品・冷延鋼板
鋼板およびフラットロール製品は、鉄鋼製品の中でも最も需要が高く、かつ分類が複雑な分野に位置づけられます。HSコードでは、熱間圧延・冷間圧延・めっき処理・厚みなどの多様な要素によって細かく分類されており、適切な区分を理解することは通関実務において不可欠です。とくに7208、7210、7219といったコードは、見た目が類似していても材質や処理方法が異なる製品を的確に区別するために設定されています。
分類上の重要な違い 熱延・冷延・めっきの視点
鋼板製品のHSコードを判別する際、最も重要な視点は「圧延方法」と「表面処理」です。
分類基準として押さえるべきポイントは次の4つです。
-
圧延方法(熱間か冷間か)
熱間圧延は高温状態で成形されるため表面に酸化スケールが残る一方、冷間圧延は表面精度が高く寸法精度も良好です。この違いが用途やHSコードに直結します。
-
めっき処理の有無
7210に分類される鋼板は、溶融亜鉛めっきやアルミニウムめっきなどの防錆処理が施されています。建材や電化製品の筐体など外装用途に多く用いられます。
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厚さと幅
HSコードにおいては、厚さ2mm未満の鋼板か、それ以上かが分類基準になります。さらに、幅が600mmを超えるか否かも判別要素になります。
-
ステンレス製か否か
7219に該当するステンレスフラットロール製品は、腐食耐性が高く、食品・医療など高衛生分野に使用されます。材質にニッケルやクロムが含まれていることが多く、合金含有量もコード分岐の鍵になります。
読者が抱きやすい5つの疑問を解決
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冷間と熱間の違いは?
熱間圧延は加熱した鋼塊をそのまま圧延したもの。寸法精度はやや低めだが大量生産向き。冷間圧延は常温でさらに圧延をかけるため寸法精度が高く、外観も良好。
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めっきの種類によってHSコードは変わる?
はい。例えば、亜鉛めっきの場合は7210、ステンレス素材への光沢処理は7219に分類されます。
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7208と7210の違いは?
主に圧延温度と表面処理の有無。7208は熱間圧延で無処理(または酸洗い)に該当し、7210は冷間圧延かつめっき処理されている製品です。
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厚みや幅で分類が変わるの?
その通りです。HSコードでは「厚さ2mm未満」「幅600mm以上か否か」が分類基準の重要な閾値になります。
-
フラットロール製品と鋼板は同じ?
厳密にはフラットロールはロール状(コイル)に巻かれた鋼材を指し、鋼板はそれを平板状に加工したもの。用途やHSコード分類は似ていても納品形状が異なります。
業務での誤分類例と注意点
フラットロール製品の分類でよくある誤りは、冷延と熱延の混同です。例えば、光沢仕上げのない冷間圧延製品を7208に分類してしまうケースは多く、関税計算やFTA原産地証明で問題になることも。必ず圧延方法と表面処理、さらに材質まで確認しましょう。
また、鉄パイプや成形製品と誤って分類するケースもあり、これは外観だけでなく製品形状・加工履歴まで含めた精査が必要です。
結論としてのアクション
これらの分類ポイントを把握することで、通関・輸出入申告時の精度が格段に上がり、誤分類による再申告リスクや関税過払いも防げます。貿易実務の担当者は、最新の関税率表や通達を確認しながら、製品仕様とHSコードを必ず照合する習慣を持つことが重要です。次項ではボルトやナットといった製品群について、同様に分類の実務例を詳述していきます。
実務で使える鉄製品のHSコード調査・確認方法
検索ツールまとめ
HSコードを正確に調べるためには、信頼性が高く、更新頻度の高い検索ツールの利用が不可欠です。鉄製品は品目数が多く、似た品名や用途のものが複数の分類にまたがるため、初心者が正しく判断するにはツールの特徴を理解しておくことが重要です。以下に主要なHSコード検索ツールを用途別に紹介し、それぞれのメリットと注意点を比較します。
主要ツールの比較表
ツール名 | 対象者 | 特徴 | 利用料金 | 備考 |
通関士.com | 初心者~中級者 | 語句検索が簡易でUIが直感的 | 無料 | 通関士試験対策に準じた分類例も豊富 |
JAFTAS(日本貿易関係手続簡素化協会) | 実務担当者向け | 実際の貿易実務に準拠した分類結果 | 無料 | 申告上の注意点も記載されている |
FFTA(日本国際フォワーディング協会) | 実務上級者向け | 実際のフォワーダー向け分類ガイド | 無料 | 現場の実情に即した記述が多い |
NACCS HSコード検索 | 通関実務者 | 財務省提供データと連携した正確性 | 無料 | 項目が細かく分類検索に時間がかかる場合あり |
WorldTariff | 国際取引業者向け | 各国のHS分類と関税率を横断的に検索可 | 有料 | 英語表記が多いため翻訳力が求められる |
それぞれの使い方のコツ
- 通関士.comの特徴と活用法
- 初心者にもやさしい日本語検索が可能。例:「鉄パイプ」「ねじ」で直接入力しても候補が出る。
- 調べたい製品名に該当するキーワードを広めにとると、該当候補を複数提案してくれる。
- 試験対策向けではあるが、実務分類にも応用可能。
- JAFTASの実務性
- 実際の通関処理に近い検索結果を提示。品目例とともに輸入実績コードも表示。
- メーカーや輸入者向けに解説ページがリンクされており、実際の申告例が豊富。
- PDF版分類表との併用で、初心者でも迷いにくい。
- FFTAの上級情報
- フォワーダー(国際輸送事業者)視点で作成されており、物流実務とセットで学べる。
- 物理的形状・用途・含有成分など、分類の根拠を解説しており、内部処理の参考に適す。
- NACCS検索システムの正確性
- 日本税関の分類基準と連動しており、更新頻度・信頼性が極めて高い。
- 文言検索でなくコードベース検索が基本。初心者にはやや難易度高め。
- 詳細分類が可能で、材質・用途・構造まで選択して絞り込める。
- WorldTariffでの海外対応
- 複数国のHSコードと関税率を並列検索可能。グローバル取引に便利。
- 言語が英語であり、化学品や複合材ではテクニカルな翻訳力が必要。
調査で迷ったときのヒント
- 同じ製品でも形状や加工状態で分類が異なるため、画像検索やカタログ確認を併用する。
- 材質(例:炭素鋼、ステンレス)、表面処理(例:めっき加工)、用途(例:建設、食品機械)で再検索することで正しい候補が浮かびやすくなる。
- 特に鉄鋼製品では「厚さ」「幅」「中空かどうか」など微妙な物理的特徴がHSコードに影響する。
今すぐ実践すべき行動
- 自社製品リストを用意し、上記ツールでそれぞれ検索して結果を比較。
- 類似製品と異なる分類がないかダブルチェックし、通関書類作成に備える。
- 通関業者や輸出先の業者と相談し、実際に使用されているコードを確認することで、実務上の分類ミスを未然に防ぐ。
財務省・WCOなど公的サイトでの調べ方と注意点
公的機関のデータベースは信頼性の源
鉄製品のHSコードを調べる際、最も信頼できるのが財務省、日本税関、世界税関機構(WCO)といった公的機関の公式データベースです。これらのサイトは分類の根拠となる法的文書に基づいて情報が整理されており、誤分類のリスクを最小限に抑えるためにも利用価値が非常に高いといえます。
公的データベースの使い方とポイント
- 財務省HSコード分類表
-
https://www.customs.go.jp/ を基点に、分類表PDFやオンライン検索が可能。
- 例:「7208」で検索すると「熱間圧延の非合金鋼のフラットロール製品」に分類。
- 分類結果に対応する関税率やWTO協定の優遇情報も併記されている。
- 関税協会WebTariffの活用
- 国内外の品目分類コードに加えて、EPA協定別の分類が確認可能。
- 特恵関税・EPA活用時の原産地証明制度に必要な分類情報の取得に役立つ。
- 品目例:7318→ねじ、ボルト、ナットの区分詳細も明確化。
- WCO HS Onlineの特徴
- 6桁ベースで分類される国際統一規則を反映。
- 各国の追加コード(7桁目以降)と比較しやすい。
- 英語表記だが「Flat-rolled products」「Screws and bolts」など基本語彙で検索可。
- 税関CIP(Classification Information Platform)での個別照会
- 難解な製品は税関に照会し、分類番号を「事前教示」として取得可能。
- 過去に登録された照会例も公開されており、自社製品と類似の分類事例を調べられる。
- 正式な照会により、将来的なトラブル予防にもつながる。
「検索しても出てこない」ときの対処法
以下のようなケースでは公的DBから正確な分類が得られないこともあります。
- 商品名が曖昧で、通称名・商品名とHS分類名が一致しない
- 複合材や部品で、材質・用途・構造が複雑
- 加工工程が特殊で分類基準が曖昧
こうした場合の対処方法として、次のアプローチが推奨されます。
検索に困ったときのチェックポイント
- 製品カタログや技術仕様書から「材質・加工方法・用途・寸法」を明記する
- 商品の写真や図面を準備し、通関士や税関に直接確認を依頼する
- 英語でも調べてみる(例:「pipe fittings」「galvanized steel sheet」)
実践的な利用シーン例
たとえば「鉄製フレキシブルホース」の場合、パイプのように見えても内部に金属メッシュが含まれることが多く、「7312:金属製より線類」に分類されることがあります。このように見た目と分類の一致が取れないケースは、CIPの照会事例や過去判例の参照が不可欠です。
分類の正確性が業務を左右する理由
- 誤分類による追徴関税・ペナルティ発生
- FTA適用時に誤った原産地証明でトラブル
- EPA対象外と判断されてしまうリスク
このため、分類の初期段階で公的サイトを正しく活用し、正確な番号を得ることが、実務上の信頼と損失回避に直結します。
誤分類によるトラブル事例と防止策 高関税・通関拒否のリスクとは
誤分類の実例紹介 形状が同じでも分類が変わる製品
一見すると形状が同じ鉄製品でも、用途や成分、加工方法が異なることでHSコードの分類が変わることがあります。このような誤分類は、関税過払い、FTA適用除外、通関遅延といった重大なトラブルの原因になります。ここでは実際にあった事例をもとに、形状が似ているが分類が異なる製品の具体例と誤分類による影響について紹介します。
例えば、鉄鋼パイプ(7304)と家具用脚部(7326)は、どちらも「中空で円形の鉄製品」であり見た目が酷似しています。しかし前者は「構造材」として、後者は「家具部品」として使用されるため、明確に分類が分かれます。関税率はもちろん、EPA適用範囲も異なるため、誤って分類すると10%以上の関税差が発生する場合もあります。
また、溶接金網(7314)と装飾用の鉄製フェンス(7326)も混同しやすい組み合わせです。どちらも格子状の構造を持ちますが、機能性の強い構造材か、外観を重視した装飾部品かによって分類が変わります。税関はこの用途の説明責任を輸出者に求める傾向が強まっており、正確な記述が必須です。
分類誤りで起こる実害例
- 関税率の上昇による利益圧縮
- EPA対象外とされ追加税金発生
- 誤記により通関拒否され出荷が止まる
- 会計上の申告ミスとして監査リスク増大
上記のような事態を防ぐためには、品目ごとに使用用途、加工状態、構造的特徴を記録し、インボイスやパッキングリストなどの補足書類と一貫性を持たせることが大切です。
分類ミスは企業信頼の損失にも直結します。たとえ製品の形状や重量、ミリメートル単位の寸法が似ていても、分類はその「目的」と「成分構成」に基づいて厳格に決定されます。
成分・材質・加工方法による分類ミスの落とし穴
HSコードの分類において、成分構成や材質、加工方法は極めて重要な要素です。しかし実務においては、これらを軽視することで誤分類が発生するケースが後を絶ちません。以下では、分類を左右する主な要因を実例とともに解説しながら、実務上で見落とされがちなポイントを明らかにします。
分類に影響する要因
分類要因 | 内容例 | 注意点 |
成分構成 | 炭素含有量、合金成分の有無 | 含有量により鋼種が変わる |
材質 | SS400、SUS304、合金鋼など | ステンレスと炭素鋼は別分類 |
加工方法 | 圧延(熱間/冷間)、溶接、切断等 | 冷延・熱延の違いでコードが変化 |
例えば、「冷延鋼板」は7209に分類されますが、同じ形状であっても熱延処理がされていれば7208になります。また、SUS304は非磁性であるため「ステンレス鋼」に分類される一方、SS400は非合金鋼の範疇に入ります。この違いを理解せずに一律で「鉄板」として分類してしまうと、税関から誤分類の指摘を受ける可能性が高まります。
さらに、加工方法も見落とされがちです。「継ぎ目のない管(シームレスパイプ)」と「継ぎ目ありパイプ(溶接管)」では、成形プロセスが異なるため、分類コードは別物になります。
まとめ
鉄製品のHSコードを正確に理解し、適切に分類することは、輸出入業務の信頼性とコスト管理に直結します。特に鉄鋼やステンレス鋼、炭素鋼といった品目は、形状や加工の程度、材質の含有比率によって細かく分類が異なり、通関におけるトラブルの温床となることも少なくありません。
誤分類によるリスクは決して小さくなく、関税過払いのほか、税関での輸入保留、追徴課税やペナルティの対象になる可能性もあります。たとえば、ミリメートル単位での外径や、合金含有量の差異が判断基準となる場合もあり、少しの認識ミスが数十万円単位の損失に繋がるケースも現実にあります。
今回の記事では、鉄パイプや鋼板、ネジ、ステンレス部品など、代表的な鉄製品の分類事例を解説するとともに、財務省やWCOの信頼性あるソースをもとに、実務で活用できるチェックポイントも紹介しました。さらに、実際のインボイス記載例や通関士の監査で指摘される典型パターンも挙げ、現場での再発防止につながる内容を網羅しました。
分類に迷ったときは、機械的に判断するのではなく、形状、用途、成分、加工内容、さらには輸入通関の過去データまで踏まえて精査することが求められます。放置すれば不要なコスト負担や信頼の毀損につながるため、早期の対策が重要です。
今後も輸出入業務に関わるすべての担当者が、正確で効率的なHSコード運用を実現するための知識を備え、グローバルなビジネス展開に自信を持って臨めるよう、実務視点での情報提供を続けていきます。
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よくある質問
Q.鉄製品のHSコードを間違えると、実際どれくらいの関税コストが発生しますか?
A.誤分類によって発生する関税の追加コストは1品目あたり最大数十万円に及ぶケースもあります。例えば、炭素含有量や合金の有無を誤って分類し、合金鋼ではなく非合金鋼として通関した場合、税率が3%から7%に跳ね上がる事例も報告されています。輸入数量が1万KGを超える場合、数%の違いが年間数百万円の損失につながることもあり、HSコードの正確な分類は企業経営に直結する重要項目です。
Q.HSコードの違いによってEPA適用時の関税免除率はどう変わるのですか?
A.鉄製品のHSコードが正確に分類されていない場合、EPAやFTAの関税優遇が適用されず、本来0%になるはずの関税がそのまま5%以上課税されるリスクがあります。例えばメキシコやタイとのEPAを利用した場合、HSコード7208や7304などに対する関税が完全免除になる一方で、誤って非適用品目に分類されると本来の恩恵を受けられません。分類精度が企業のコスト競争力を大きく左右するのです。
Q.鉄パイプやフラットロール製品の分類で特に間違えやすいポイントは何ですか?
A.鉄パイプ(HSコード7304)とフラットロール製品(HSコード7208~7219)は、加工状態や厚さ、冷間圧延か熱間圧延かによって分類が異なります。特に外径が114.3ミリメートル未満で中空構造のものや、圧延後に被覆処理された製品などは分類が難しく、誤って第72類と第73類を混同するケースが頻出です。加えて材質にニッケルやクロムを含む合金鋼であればさらに細分化されるため、正確な成分記録と使用用途の明記が必須となります。
Q.家庭用品など小型雑貨は鉄製品として分類されますか?
A.家庭用品や日用雑貨が鉄製であっても、形状や用途によっては第83類ではなく、第73類に分類されることがあります。例えば、SUS304製のスプーンや台所用品は、一般的にHSコード7323に該当し、材質よりも「食卓用品」という使用目的が分類の軸になります。サイズが小さいから雑貨扱いになるという誤解も多く、構造と用途の両面で分類する必要があります。特に輸入量が多い場合、誤分類が全ロット通関停止につながる可能性もあり注意が必要です。
会社概要
会社名・・・ 及川鉄工株式会社
所在地・・・〒003-0869 北海道札幌市白石区川下641番地
電話番号・・・011-874-0973